東京都にある高尾山と同じ山名の甲州高尾山に興味を持ち調べてみると、近くに「大富士見台」の別称をもつ棚横手山がある。「大富士見台」は登らないといけない。勝沼の大善寺から棚横手山に登ると、その尾根道に甲州高尾山があることになるので二山登ることにした。
早い時間に大富士見台に着くためタクシーを利用して大滝不動尊から登るコースを選んだ。尾根道までは仏閣と滝見物、棚横手山-富士見台-甲州高尾山の尾根道では素晴らしい富士山展望、勝沼駅までは満開の桜と桃の花見を楽しんだ。



■登山コースと時間(休憩含まず)

・大滝不動尊〜棚横手山 67分  ・棚横手山〜甲州高尾山 65分

・甲州高尾山〜五所大神社 93分  ・五所大神社〜勝沼ぶどう郷駅 68分

棚横手山・甲州高尾山の登山コース
コース
j時刻
小田急線長後駅
5:41
JR中央本線
勝沼ぶどう郷駅
 タクシー2170円
8:11
大滝不動尊
 920m
8:26
8:46
展望台 9:03
9:10
富士見台下分岐
 1140m
9:34
9:39
棚横手山
 1306m
10:05
10:56
富士見台
 1170m
11:19
11:23
甲州高尾山東峰
 1120m
11:54

甲州高尾山
 1106m
12:01
13:02
甲州高尾山剣ヶ峰
 1091m
13:10

柏尾山
 740m
13:56

五所大神社
14:27
14:55
大善寺
 470m
14:59

JR中央本線勝沼ぶどう郷駅
 480m
15:41
16:03
小田急線長後駅 18:45


■棚横手山周辺の山の名前

山地図、地形図によって山の名前が無い、また山の位置や名前が異なっている。各種地図などを調べ、それらにある山の名前を表示しました。山歩き記では昭文社地図や山にあった表示板に則って記載しました。東峰(甲州高尾山東峰)は、標高が高く景観がよいので特別に記載。

*このほか、甲州高尾山は、ヤマレコでは別名深沢山となっています。その深沢山という山名は、この地図の真ん中の下にある標高1027.14 mの山にもついてます。大滝山の右側にも深沢山があるようです。

*また、棚横手の山名はもともとなかったという以下の記載もあります。
『甲斐国志』には、あの位置の山がはっきり「大滝山」として載っていて、棚横手などという言葉は一言もない。「大滝山 牛奥菱山両村ノ東ニ在リ 東北深沢山ニ接ス 山頂ニ池アリ 溢レテ大爆トナル・・・・」
 「山梨の富士 名峰からの展望」 上野巌著 山梨日日新聞社平成18年出版 から引用

*ある時期まで、このあたりの地名と同じ「深沢山」と「大滝山」という山しかなく、時代を経ることで位置も山名も変化したように思えます。現時点、登山者にとっては「棚横手山」と「甲州高野山」が代表的山名です。

*「高尾山」の名前の由来ついて次の記載があります。
『日本山岳ルーツ大辞典』(1997年 竹書房)のp.467に「タカオ・タカオカとは、尾根が高いところで左右に長く伸びていることを示す山名、またそういう山の峠名。」とあります。また、『地名語源事典』(1981年 新人物往来社)p.216には「たかお」に「高尾、鷹尾、高雄」という漢字をあて、「各地によくある地名」とし、「尾とは尾根、すなわち山稜のことで、高尾とは高尾根という意味。」と載っています。このように山の形からついたと考えられます。




棚横手山周辺の山の名前



甲州高尾山と富士山(大菩薩嶺雷岩から)  棚横手山は甲州高尾山の左横の宮宕山の後

甲州高尾山と富士山(大菩薩嶺雷岩から)
 




棚横手山・甲州高尾山の山歩き記 2015.4.6




■5:41 小田急線長後駅出発。日帰りで歩くためには早朝4:50分に起床しなければならない。


■8:11 JR中央本線勝沼ぶどう郷駅からタクシーに乗る。15分、2170円。







■8:43 大滝不動尊入り口に到着。



大滝不動尊入り口




■8:43 出発準備



大滝不動尊入り口




■8:43 880年草創の大滝不動尊。大滝をはじめとした大小の滝がある。



880年草創の大滝不動尊。大滝の解説板




■8:44 山門



大滝不動尊の山門




■8:44 山門からの道



山門からの道




■8:46 滝の流れに沿って階段を登ります。



流れに沿った階段




■8:49 大滝不動尊の本堂か。



大滝不動尊の本堂




■8:52 山道を登り大滝を眺める。



大滝




■8:53 下に大滝不動尊の本堂。



下に大滝不動尊の本堂




■8:55 天狗堂か



大滝不動尊の天狗堂




■9:05 分岐。「展望台」があるなら、行かなければならない。富士山が見えるかもしれない。



分岐




■9:06 「大滝不動尊景観保存地区 展望台からは甲府盆地が一望できる・・・・」の表示板



展望台




■9:07 富士山は見えず、霞が強く眺望は良くないが、甲府盆地が一望できるようです。



展望台からの甲府盆地




■9:20 案内板に従い展望台から富士見台方面に進みます。大滝を眺めながら進みます。



大滝




■9:24 道の右側に「←富士見台 甲州高尾山 l 展望台 大滝不動尊→」の表示板があり、指導員が先に坂道を登る。



富士見台への道




■9:34 尾根道に到着



尾根道の分岐




■9:37 分岐からの富士山。最初に眺めたこの素晴らしい展望に魅惑されました。富士見台の山体を前景にして幾層にも山並みが重なり合い、その最上層の御坂黒岳の左横に富士山がいます。黄檗色、緑、褐色の山、青い空と白い雲、豊かな色彩です。1100mほどの所からですが、深山から眺めているような気持ちになります。



分岐からの富士山





■9:37 富士山は山頂部を見せています。残念ながら笠雲がかかっています。



分岐からの富士山




■9:37 御坂黒岳と御坂山の上に富士山山頂部。



分岐からの富士山




■9:44 富士見台には登らず、まず棚横手山に向けて尾根道を進みます。その尾根道からの富士山がいる眺めは刻々と変わります。このあたりの眺めも良い。左側に棚横手山の山頂が見えます。



棚横手山に登る登山道からの富士山





■9:50 富士見台分岐〜棚横手山からの富士山がいる大展望。


黄檗色のなだらかな富士見台の山体を前景にして、鋭角な凹凸を持つ稜線が幾層も重なってひとつの山塊を形成し、その右側に甲府盆地と南アルプスが続きます。山稜最上層の御坂黒岳と御坂山の上に富士山がいます。富士山がいることにより、甲斐の山々の緊張感が高まり、一段と見事な景観になっています。また、稜線が幾層にも重なり合う、贅を尽くした逆三角形の台座に鎮座することで、富士山頂部は一層輝きを増しています。甲斐の山々と富士山が造り出した絶景です。
重なり合う稜線がいかなる山によって造られているかを山座同定しました。

*黄蘗色(きはだいろ)は、ミカン科のキハダの樹皮(生薬の黄檗)で染めた鮮黄色。





富士見台〜棚横手山間からの富士山がいる大展望





■9:50 富士見台〜棚横手山からの富士山。壁紙用画像(WUXGA 1920×1200)。



富士見台〜棚横手山からの富士山


(WUXGA 1920×1200)



■9:56 林道に出ました。階段を登っていくと棚横手山山頂です。



棚横手山下の林道




■10:00 棚横手山山手前の登山道から振返って富士山方面



棚横手山山手前の登山道から振返って富士山方面




■10:00 棚横手山山頂手前の登山道から振返って甲府盆地



 棚横手山山頂手前の登山道から振返って甲府盆地




■10:09 棚横手山山頂。左に「棚横手山 一三〇六m 山梨百名山」の表示板。



棚横手山山頂





■10:09 「大富士見台 山梨県勝沼町」 と古い「棚横手」の表示板。三つの山名の表示板があります。



「大富士見台 山梨県勝沼町」 と古い「棚横手」の表示板




■10:10 棚横手山山頂からの雄大な眺めです。



棚横手山山頂からの雄大な眺め




■10:10 正面に富士山がいます。



棚横手山山頂からの雄大な眺め





■10:17 棚横手山山頂からの富士山は、左右の裾野まで見えています。富士山山頂にかかっている雲が大きくなってきました。



棚横手山山頂からの富士山




■10:17 記念撮影がしたくなる山頂です



棚横手山で記念撮影




■11:01 50分ほど棚横手山山頂で富士山を眺めて、登ってきた道を下ります。進む方向に富士山がいると、気持ち良く歩けます。



登ってきた道を下ります




■11:17 「棚横手山→: 山梨県勝沼町」の表示板。
山頂には勝沼町の表示板は「大富士見台」のみですが、勝沼町としては「棚横手山」と認識しているようです。

「山火事予防 東山梨消防本部」がいたる所に置かれています。
棚横手山から甲州高尾山の尾根道の見晴らしが良いのは、平成5年から平成21年にかけて4回も大規模な山林火災が起こり、棚横手山、甲州高尾山の樹木の殆どが焼き尽くされたためです。また、黄檗色のなだらかな富士見台の山体も、山林火災によるものです。そのため、すばらしい景観と痛ましい山火事が絡み合った複雑な心境でこの大展望を眺め歩きます。



 「棚横手山→ 山梨県勝沼町」の表示板




■11:19 登ってきたときと同じ場所からの眺めですが、富士山が雲の中に隠れてしまいました。これ以降は御坂黒岳の横に富士山がいると思い眺めます。



登山道から富士山方面




■11:22 分岐から坂道を登り富士見台到着。



富士見台




■11:23 富士見台から富士山方向の眺めが素晴らしい。下側がカットされていますが、御坂山地の山並みが左側から右の方に流れ甲府盆地まで続きます。晴れていれば南アルプスも見えると思います。富士山がいないのが残念です。




富士見台から富士山方向の素晴らしい眺め






■11:23 この部分で見ると、黄檗色の三角形の器に甲斐の山並みを盛り付けたようにに見えます。



黄檗色の三角形の器に甲斐の山並み




■11:23 富士山の冠雪部がかすかに見えます。



富士山の冠雪部




■11:26 富士見台からの眺め。甲府盆地の東の方が見えています。首を2回ほど回して眺めたほぼ300度の景観です。




甲府盆地の東の方が見えています





■11:41 展望台・大滝不動尊に下りる二つ目の分岐です。



展望台・大滝不動尊に下りる二つ目の分岐




■11:54 甲州高尾山東峰からの展望。地形図などには載っていませんが、参考にした案内書に甲州高尾山(東峰1120m-中央峰1106m-剣ヶ峰1092m)とありました。最も標高が高く、景観も良いので東峰の表記を採用しました。



甲州高尾山東峰からの展望






■11:54 甲州高尾山東峰からの展望。右下に大善寺がありそこに下りていきます。



甲州高尾山東峰からの展望




■12:01 甲州高尾山山頂です。



甲州高尾山山頂




■12:01-13:02 甲州高尾山山頂からの甲府盆地。樹木が伸びて視界を遮っています。ここで昼飯休憩。景色を眺めておにぎりを食べるには、東峰のほうが良いと思います。火気厳禁ですのでガスコンロは使えないため、お茶なしでおにぎりをゆっくり味わいます。珈琲タイムは無し。



甲州高尾山山頂からの甲府盆地




■13:10 甲州高尾山剣ヶ峰。ここは展望はあまりない。



甲州高尾山剣ヶ峰




■13:14 剣ヶ峰から少し下りると展望が開けます。



剣が峰から少し下りると展望が開けます




■13:56 このあたりが柏尾山山頂か。歩いているときはわからなかったが、鉄塔の奥に行き先表示板がある。



このあたりが柏尾山山頂




■14:25 予期していない満開の桜に出会う。今日は2015年4月6日山梨の山は桜満開。



予期していない満開の桜




■14:26 桜満開



満開の桜




■14:27 少し下りると、五所大神社があり、その横に東屋と満開の桜。この東屋のコンクリートの上にガスコンロをおき、お湯を沸かして、トラジャ豆をカリタで濾して珈琲タイム。



五所大神社横の東屋と満開の桜




■14:46 満開の桜の奥に広がる甲府盆地を眺めながら珈琲を味わうと、登山の疲れが飛んでいく。



満開の桜の奥に広がる甲府盆地




■14:47 思いがけない花見と珈琲を楽しみ、出発。



満開の桜




■15:03 坂道を下り車道に出ると、ぶどう寺大善寺があります。大善寺のHPに次のような記載があります。縁起?−真言宗智山派 柏尾山 大善寺

「養老二年(AD718)僧行基が甲斐の国を 訪れたとき、勝沼の柏尾にさしかかり、日川の渓谷の大石の上で修行したところ、満願の日、夢の中に、手に葡萄を持った薬師如来が現れました。行基はその夢を喜び、早速夢の中に現れたお姿と同じ薬師如来像を刻んで安置したのが、今日の柏尾山大善寺です。 以来、行基は薬園をつくって民衆を救い、法薬の葡萄の作り方を村人に教えたので、この地に葡萄が 栽培されるようになり、これが甲州葡萄の始まりだと 伝えられています」

*行基:聖武天皇により奈良の大仏(東大寺)造立の実質上の責任者として招聘された大僧正



ぶどう寺大善寺




■15:09 眺めを楽しみながら、勝沼ぶどう郷駅に進みます。



甲府盆地




■15:13 ところどころ桃色の絨毯んを敷いたような華やかな町並み。



ところどころ桃色の絨毯んを敷いたような華やかな町並み




■15:24 ここの桃も充分咲いています。



桃も充分咲いています




■15:31 何の木か知らないが美しい。



何の木か知らないが美しい




■15:38 ぶどうの丘



ぶどうの丘




■15:43 勝沼ぶどう郷駅



勝沼ぶどう郷駅




■16:02 駅のホームから桜とぶどうの丘。



駅のホームから桜とぶどうの丘




■16:03勝沼ぶどう郷駅出発


■18:45 小田急線、藤沢の長後駅到着


END





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