大野山の休憩舎からの富士山   2015年1月3日 10:32



大野山からの富士山は力強く、安定感があり、冠雪部が変化に富み美しく、しばらく見ていると心が落ちついてきます。

山頂から吉田大沢などの沢の流れが八の字上に広がり、その流れを左側の宝永山と右の小御岳がグイと支えており、中央右横の中腹が少し盛り上がり全体として力強さををかんじます。

富士山頂部は富士八峰の六峰が凹凸を持ちながら並びほぼ水平になっています。富士山山頂からの傾斜角は左は28.6度、右は26.1度とほぼ同じで左右対称です。これから富士山の形状は台形となり、見る人に安定感を与えます。

冠雪部を見ると、左側は広い部分が1300m付近まで冠雪して、中央右は2000m付近までしか冠雪していません。この状態だとバランスが崩れますが冠雪のない中腹に小富士の菱形の冠雪部が有ります。これにより、変化に富んでいるがバランスが取れた冠雪図になっています。又、冠雪部の柔らかな陰影をもつ雪肌が美しい。

冠雪部が1300mまで下がっているのは、森林限界が下がっているからです。これは、1707年におこった宝永山の噴火により、このあたり一面に大量の火山噴出物が堆積したためです。


 *富士山の傾斜角、森林限界:「富士山展望百科」田代博鑑賞「山と地図のフォーラム」編 1998年 実業之日本社を参照。
   この本において富士山南東部のベロを出したような冠雪部を「雪舌(せつぜつ)」と呼称したいといっています。賛成します。まだ他では使われていないようです。




大野山休憩舎からの富士山





大野山からの富士山 視線の流れ



平らな山頂部、荒々しい宝永山火口と宝永山、ポコポコと愛らしい二ツ塚、左下方に広がるベロのような冠雪部「雪舌」、飛ぶ鳥のような小富士の冠雪部、広く窪んで流れる吉田大沢、すそ野を支える小御岳、富士山中央部に迫る三国山稜。大野山からの富士山は構成要素がが多く変化に富んでいます。ひとつひとつを見ようとすると視線が発散してしまいそうですが、ゆったりとして眺めている。何故か・・・・富士山が、私の視線の流れを誘導してくれていることに気づきました。これにより、順番に各構成要素を眺めた後に、力強く、安定感があり、美しい富士の全体を眺め、ため息をついて「素晴らしい」とつぶやきます。


私が気がついた視線の流れ。図で示します。


@漠然と全体を見た後、視線は山頂部にいき、富士八峰の凹凸があるが平ら形状を眺めます。

A沢の流れに沿って広い雪舌を左下に下りていきます。その時に、宝永山火口、宝永山、二ツ塚と中腹の雪肌を鑑賞します。雪舌下方の三角のところから左側のすそ野に流れていきます。

B左に流れていくと富士山本体から遠ざかるため、右側に戻ります。その時東富士演習場などのカヤトの形状が視線を導いてくれ、小富士の冠雪部に到達します。

C小富士の鳥の形をした冠雪部は、今にも飛び立つように翼を広げて待ってます。視線はぐいぐいと富士山山頂部に進みます。この視線の流れにおいても、小富士の冠雪部が重要な役割を担っています

D富士山山頂から吉田大沢を下りていきます

E小御岳と三国山稜最高峰の大洞山が視線を受け止め、三国山稜を左の立山の方に下りていきます。

F平野に下りた視線は左右に広がり、更に富士山を含めて全体を眺めます。ため息をついて「素晴らしい」とつぶやきます。


嘘だと思ったら一度試してください(マルちゃん正麺から)。




大野山休憩舎からの富士山 視線の流れ