小御岳〜御庭〜大沢崩れの御中道歩き記 2014年9月10日(水)




御中道は、富士講信者における修行として利用された道で、富士山の五合目-六合目あたりを一周する登山道です。
現在は一部登山道が廃止されたため、一般的には、小御岳-御庭 -大沢崩れの部分をさします。富士山のほぼ1/4周になります。

今回は小御岳-大沢崩れの御中道のフルコースを歩きました。
左側に富士山、右側に本栖湖方面の山々、道の脇にはコケモモなどの多くの高山植物、それらを眺めて歩きます。とても贅沢な標高2300-2400mの散策コースです。






 

富士山の中腹を1/4周往復するコースです

富士山地形図
 

 今回のコース  時刻
小田急江ノ島線
長後駅
 
5:18
富士急行線富士山駅 8:06
8:10
富士スバルライン五合目 2305m
(バス:往復3910円)
9:15
9:48
御庭 山荘跡 2340m 10:56
11:04
滑沢右岸 2400m 11:44
11:52
一番沢 2409m 12:09
12:14
大沢休泊所-大沢崩れ展望場所
 昼飯
12:55
14:18
滑沢右岸 14:54
15:03
御庭 山荘跡 15:48

富士スバルライン五合目 16:35
17:50
富士急行線河口湖駅
18:39
19:07
小田急江ノ島線
長後駅
20:30
         

小御岳から大沢崩れ展望場所までの御中道は殆ど上り下りがありません。

富士山地図




手持ちの写真では逆光のため鮮明なものがないため、紅葉台案内板の画像を借用しました。

点線で御中道を示しました。その下の黒い筋が富士スバルラインです。大沢崩れは右側の奥で、見えません。
印の窪地が先に現れ、印の窪地が次に現れます。これらの窪地が、御中道から見る富士山のポイントになります。



富士山御中道の写真










小御岳-御庭-大沢崩れの御中道歩き記 2014年9月10日(水)




■5:18 小田急江ノ島線長後駅出発


■8:06 富士急行線富士山駅到着。気温19℃。


■8:10 富士山駅から河口湖経由富士スバルライン五合目行きのバスで出発。



富士山駅から河口湖経由富士スバルライン五合目行きのバス




■9:15 富士スバルライン五合目バス停到着直前のバスの窓から。晴天ですが、逆光のため山体は鮮明度に欠けます。
一番高いところが、白山岳頂上です。(カシミールの「見通し」機能で調べると、頂上は「見えます」と出ました。)



富士スバルライン五合目行きのバスから富士山




■9:27 富士スバルライン五合目からの富士山。建物は「雲上閣」。お土産販売所、レストランで宿泊もできます。
この反対側にも食堂、御土産屋と小御岳神社があり車でこれる観光地になっています。




富士スバルライン五合目からの富士山




■9:40 小御岳神社です。 鳥居中央に「富士山大社」の額が有ります。小御岳神社は別名富士山大社と呼ばれ、祭神は大山祗命の長女磐長姫命(木花咲耶姫の姉)を主神とし随神として桜大刀自神ほか3神を併祭しています。

 「富士山五合目小御嶽」の石碑があります。小御岳山頂のようです。かなり広い平坦部の一箇所で、山頂という実感はありません。
富士山山体には宝永山、大室山など数多くの側火山(寄生火山)がありますが、小御岳は側火山ではありません。次の富士山形成の段階で生じた火山です。
 1.先小御岳 2.小御岳 3.古富士 4.新富士
小御岳は、数十万年前から10万年前ぐらいまで活動していた火山体でその上に、古富士、新富士の火山が重なり、現在の富士山が形成されました。



小御岳神社



中に進みます。朱塗りの柱が鮮やかです



小御岳神社



「日本武尊社」の額がかかっています。その横に展望台、そこから山中湖が見えるようですが、今日は雲があり見えませんでした



小御岳神社



境内から富士山が見えます



小御岳神社境内からの富士山





■9:45 富士スバルライン五合目では、一段下がった公衆トイレから、富士山が最もよう見れます。



公衆トイレからの富士山





■9:48 バス停横を登ると御中道出発点。御中道の高山植物、ハクサンシャクナゲの開花は7月ですので、9月10日の今回は実のなったコケモモが楽しみ。



御中道自然探勝路




■9:50 御中道出発。敷石の道を進む。



御中道出発




■9:53 ヤマホタルブクロ(山蛍袋)

ホタルブクロの変種で、山地に多く生育します。ホタルブクロとほとんど外見は変わらないが、萼(がく)片の間が盛り上がっている。一方、ホタルブクロは萼片の間に反り返る付属片があります。ホタルブクロの名は、子どもが袋のような花にホタルを入れて遊んだことに由来します。(ホタルブクロ - Wikipedia



御中道のヤマホタルブクロ




■9:54 御中道は森林限界の境界線にあるため、森林内の道と見晴らしよい火山噴出物のスコリアの道が有ります。



御中道からの富士山




■10:03 見晴らしの良い火山噴出物スコリアの道に出ました。眼下に大室山、本栖湖が見えます。



火山噴出物スコリアの道




■10:03 ベニイタドリ(紅虎杖)

タデ科の多年生植物。山野や道端、土手などのいたるところで群生し、草丈は1.5メートルほどになる。雌雄別株で、夏から秋に細かい白花を咲かせる。春先の若芽は食用になる。特に花の色が赤みを帯びたものは、ベニイタドリ(メイゲツソウ)と呼ばれ、本種の亜種として扱われる。

イタドリの語源は、傷薬として若葉を揉んでつけると血が止まって痛みを和らげるのに役立つことから、「痛み取り」が転訛して名付けられたというのが通説になっています。(イタドリ - Wikipedia





御中道のベニイタドリ




■10:05 ここから御庭まで、左手に常に富士山山頂が見えています。富士山の画像に記入した印の窪地が見えます。



御中道からの富士山




■10:30 スコリアの地面に生えているコケモモが可愛らしい。御中道の代表的高山植物です。

コケモモ(苔桃)はツツジ科スノキ属の常緑小低木。果実を食用とするが、栽培されることは稀で、野生のものを採取するのが一般的である。
森林に生育するため、日陰で湿度が高く、また土壌が酸性の場所を好む。多くのツツジ科の植物と同様、栄養分の少ない土地でも耐えられるが、アルカリ性の土壌では生育できない。耐寒性にすぐれ、-40℃以下でも耐えることができる一方、夏が暑い場所では生育しにくい。
コケモモはこうした寒冷地に生育する広葉樹には珍しいことに、冬でも葉を落とさない。地中の根茎を伸ばすことで株が拡大する。初夏に長さ約6mmの釣鐘型の白い花をつけ、果実は直径7mmほどで秋に赤く熟す。 (コケモモ - Wikipedia



御中道のコケモモ




■10:33 富士山の画像に記入した印の窪地が中央に寄ってきました。



御中道からの富士山





■10:35 スコリアの山体にパイオニア植物が生えています。このパイオニア植物の斑点が美しく、色彩豊かな富士山にしています。

パイオニア植物(先駆植物)とは荒れ地に真っ先に現れる植物で、富士山の森林限界に生きる植物です。このパイオニア植物が長い、長い年月を積み重ねてスコリアの荒地を森林に変えていきます。この写真でパイオニア植物が山頂に向かう姿を見ることができます。パイオニア植物群の進撃です。美しくかつ逞しい斑点状のパイオニア植物の進撃を見るのが御中道歩きの醍醐味です



御中道からの富士山とパイオニア植物




■10:46 の窪地がほぼ中央にきました。



御中道からの富士山




■10::50 窪地が左に来て、富士山の印象が異なります。



御中道からの富士山




■10::50 イタドリ



御中道のイタドリ




■10::50 コケモモ



御中道のコケモモ




■10:57 御庭の東屋に到着。



御中道御庭の東屋



富士山の寄生火山


 火山の中腹や裾野に、新たに噴火してできた小さな火山を寄生火山といいます。
 富士山には、その山腹や裾野に数多くの円錐状のコブがありますが、これはマグマが富士山の地中の弱い所を破って、地表に噴出して形成した寄生火山です。
 富士山の寄生火山の代表例は、宝永火山や大室山ですが、その他大小100個以上の寄生火山があるといわれています。
 ここ御庭・奥庭付近にある「ロート」状のくぼみは、寄生火山の火口の部分が地表にあらわれているものです。




■10:59 右側がスバルラインに下りる道。スバルラインから更に下ると奥庭があります。奥庭からの富士山が素晴らしいようです。



スバルラインへの表示板




■11:01 左のすそ野がなだらかに伸びています。陽の当たり方が少し良くなり山体が鮮明になってきました。



御中道からの富士山




■11:05 大沢崩れの手書きの表示板「↑おおさわくずれ」。表示板の三角が示す方向、歩いてきた道から左の林のほうに進みます。

おおさわくずれの左の矢印は直進を示していますが、誰かが書き加えたようです。許されないいたずらです。



おおさわくずれの表示板






■11:10 林の中に入ります。



林の中




■11:10 いました、タマゴダケ。


2014.7.23に新倉山で見てから、タマゴダケ愛好家になり、それ以来山道は左右の地面とにらめっこして歩いています。それなりに、見つけるコツがあるらしく、私はなかなか見つけることができません。今回も見つけたのはタマゴダケ探し名人の相棒さんです。

ここは、自然公園の特別保護地区で、植物の採取は禁止されています、見るだけです。しかし、タマゴダケは見るだけで元気になるキノコです。



御中道のタマゴダケ



寄り道をして、周辺で見つけたタマゴダケです。右下の卵のようなタマゴダケ、この白い殻を破り赤い頭が出てきます。



御中道のタマゴダケ




これもおみごと ベニテングダケ



御中道のベニテングダケ




これもなかなか ハナイグチ



御中道のハナイグチ




■11:44 小御岳からの御中道は、シャクナゲの木が多い。シャクナゲの花の咲く季節7月に、もう一度訪ねたいと思う。



御中道のシャクナゲの木




■11:45 滑沢右岸到着。



御中道の滑沢右岸





■12:00 仏石流し(ぶっせきながし)標高2404m到着。大沢まで1.4km。


仏石流し   仏石流し




■12:10 一番沢(いちばんさわ)標高2409m到着。大沢まで1.1km。一番沢は花畑になっている。



一番沢到着   一番沢到着




■12:43 トリカブトト

トリカブト(鳥兜・草鳥頭)は、キンポウゲ科トリカブト属の総称である。有毒植物の一種として知られる。スミレと同じ「菫」と漢字で表記することもある。
ドクウツギやドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つとされ、トリカブトの仲間は日本には約30種が自生している。沢筋などの比較的湿気の多い場所を好む。トリカブトの名の由来は、花が古来の衣装である鳥兜・烏帽子に似ているからとも、鶏の鶏冠(とさか)に似ているからとも言われる



トリカブト




■12:43 ギンリョウソウ。とても不思議な植物

ギンリョウソウ(銀竜草)はツツジ科ギンリョウソウ属の多年草。腐生植物としてはもっとも有名なものの一つ。別名ユウレイタケ(幽霊茸)。
森林の林床に生え、周囲の樹木と外菌根を形成して共生する菌類とモノトロポイド菌根を形成し、そこから栄養を得て生活する。つまり、直接的には菌類に寄生し、間接的には菌類と共生する樹木が光合成により作り出している有機物を、菌経由で得て生活している。古くは周囲の腐葉土から栄養を得ていると思われていて、そのように書いてある著作も多いが、腐葉土から有機物を得る能力はない。(ギンリョウソウ - Wikipedia




御中道のギンリョウソウ




■12:55 大沢休泊所到着 



大沢休泊所  大沢休泊所の説明板




説明板内容


御中道(おちゅうどう)と大沢崩れ 


 「御中道」とは、富士山中腹の標高標高2300m〜2800mを通って一周する約25kmの小径です。富士講の信者が巡拝し、富士山に3回以上登頂経験のある者にのみ許された最上級の修練の道だと伝えられています。いつ頃つくられたか明らかではありませんが、19世紀初めに「中道廻りの行者、一年に百人は下らず」(隔掻録)とあります。

 御中道の中でも、大沢の越場は最大の難所とされ、当初は標高2800m付近の「一ノ越」を渡っていました。大沢崩れの崩壊が拡大して、明治初期には「二ノ越」に変更され、その後も崩壊は進み、昭和初期には「三ノ越」が設けられました。昭和52年に転落事故が発生し閉鎖になり、現在に至っています。

昭和51年5月、作家幸田文は偶然見た安倍川源流の大谷崩れで自然の営力に深い感銘を覚え、全国の大崩壊地を巡りました。同年7月、幸田文は富士山の大沢崩れを訪れ、随筆「崩れ」を執筆しました。


*左側画像が「崩れ」の中の一文を刻んだ石碑




■12:55 大沢休泊所から下り道を進み、大沢崩れの縁にある見晴台に着きました。



大沢休泊所からの下り道





大沢崩れ(おおさわくずれ)


富士山の山体の真西面側にある大沢川の大規模な侵食谷のこと。最大幅500m、深さ150m、頂上の火口直下から標高2,200m付近まで達する。大沢川は大沢川大橋付近より潤井川と名称変更し、海まで通じている

大沢崩れは現在も進行しており、落岩の音が絶えない。崩壊が更なる崩壊を呼ぶため、崩壊地は拡大する一方である。大沢崩れの形成の年代は明らかではないが、堆積している古い土石流の中に埋もれていた木片を年代測定した結果、約1,000年前に大規模な土砂移動があったと推定された。現在では1日あたり10トン積みの大型ダンプカー28台分に相当する275tほどの崩壊量がある。大沢崩れ下方には土石流などの崩壊物が堆積し扇状地となっており、防災のための砂防工事が進められている。(大沢崩れ - Wikipedia





■13:08  「大沢崩れ」です。富士山山頂付近から下方に向けて崩壊が広がっていきます。突然現れ、広大で、荒々しく、圧倒される光景です。

 秀麗、優美、端正な富士山という認識が変わります。




富士山の大沢崩れ




■13:08 大沢崩れは、固い溶岩層と脆弱な火山砕屑物(スコリア)の互層(交互に重なり合った地層)からなり、もろい火山砕屑物が風雨等で削られて流出し、次いで火山砕屑物の支えを失った固い溶岩層が崩れることで崩壊が進むといわれています。斜めに走る線が、その地層の重なりか。



富士山の大沢崩れ




■13:08 画面中央部に剣ヶ峰3776mの旧富士山測候所の建物が見えます。



富士山の大沢崩れ




■13:08 剣ヶ峰3776mの旧富士山測候所



富士山の大沢崩れ




大沢崩れ展望場所と剣ヶ峰を地図で示します長者ヶ岳からの大沢崩れを載せます。




大沢崩れ展望場所と剣ヶ峰を地図














2010.12.19 12:10撮影




■13:08 少し離れて大沢崩れ。地層の傾きがそれぞれ異なり、見る者に安定感を与えない景色です。そのため、強い印象を残します。



富士山の大沢崩れ




■13:08  大沢休泊所に戻り昼食。大沢休泊所は、現在工事施設になり非常時以外は入れない。おにぎりを食べているさなかに雷がなり、雨が降ってきた。軒下に移動して、恒例の珈琲も飲まずに引き返す準備をし雨の状況をみる。



大沢休泊所




■14:18 幸いに雨がやんだので大沢休泊所を出発。


■15:00 滑沢右岸に到着。空は厚い雲に覆われて、富士山山頂部にも雲がかかっている。スコリアに咲くイタドリ。


滑沢右岸




■15:45 大室山、本栖湖方面も雲が多い。



御中道からの景観




■15:45 御中道の樹木は、強い風のためか枝が横に流れているものが多く見られる。



御中道の樹木




■15:48 御庭山荘跡、気温は15℃



御庭山荘跡




■15:53 コケモモとミヤマハナゴケ。ミヤコハナゴケは、名前にコケがついているが地衣類。



御中道のコケモモとミヤマハナゴケ




■16:02 御庭到着



御庭





■16:02 御庭付近 青空が出てきて、数種の雲が富士山山頂を囲う。山頂部もほぼ見えてきた。午後の方が陽の当たり方が良い。そのため、戻り道の御中道からの富士山を多く載せました。



御庭付近からの富士山





■16:05 窪地は左側



御庭付近からの富士山




■16:10 窪地は中央。富士山の中腹から見る富士山です。



御中道からの富士山




■16:10 富士山山頂部



御中道からの富士山




■16:13 窪地は右向き



御中道からの富士山




■16:13 パイオニア植物群が山頂に進みます。



御中道からの富士山




■16:13 パイオニア植物群が山頂に進みます。



御中道からの富士山





■16:22 雲が発生してきました



御中道からの富士山




■16:35 五合目到着。バス出発まで時間が有り、バス停横の唯一営業していた雲上閣食堂で、豚の角煮定食を食べる。とても美味しかった。



■17:23 5時を過ぎているので、観光客の数は少ない。



富士山五合目




■17:27 御中道の景観と高山植物と豚の角煮に満足して、記念撮影。

環境省と山梨、静岡両県でつくる「富士登山オフィシャルサイト」で、5合目の登山口の標高は吉田口が2300m、富士宮口2400m、須走口2000m、御殿場口1450mで異なります。

富士山五合目




■17:50  バス出発



河口湖駅行きのバス




■18:39-19:07 富士急線河口湖駅到着-出発。


■20:30 小田急江ノ島線長後駅到着。都内豪雨のため列車遅れる。


藤沢の自宅を早朝5時に出発したのに、到着は夜の11時。大沢崩れまでいくと結構時間がかかります。


「小御岳-御庭-大沢崩れの御中道歩き記 2014年9月10日」END



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