富士山御中道の御庭付近に生えていたミヤマハナゴケ。火山噴出物スコリアに生息するパイオニア植物。可憐で、美しく、白いサンゴのようです。コケモモとの色の対比が良く、心が癒されます。このミヤマハナゴケがとても気に入り、ミヤマハナゴケの愛好家になりました。 ミヤマハナゴケ(深山花苔)は、名前にコケがついているが地衣類です。 ![]() ![]() 「ミヤマハナゴケ(深山花苔)は、名前にコケがついているが地衣類です。」と書いてから、反省した。書いた本人が、地衣類とは何か、全くわかっていない。ミヤコハナゴケ愛好家となった以上、その形状と色の美しさ、可憐さを鑑賞するだけでは不十分である。「地衣類」だけでも理解しなければならないと、調査した。・・・・・手強い。「地衣類」はかなり手強い。植物関連の基礎知識が殆ど無い者にとって説明文を理解するのに、三回ほど読み直す必要があり、更にそこに出てくる用語を調べる必要がある。深みに陥るが、ミヤマハナゴケ愛好家としてはやらなけばならない。引用文だらけの第一次調査内容を記載します。 ミヤマハナゴケ愛好家にならなくてもよい人は、ここを押して6枚の写真に進んでください。 1、ミヤコハナゴケ、地衣類とは 「日本地衣学会 The Japanese Society for Lichenology」から引用 ■ミヤマハナゴケ.Cladonia stellaris. 日本の高山を代表する地上生樹状地衣、本州中部および北部、北海道の高山に多い.四国からも記録がある. ■地衣類 地衣類は、菌類と藻類(主に緑藻やシアノバクテリア)が共生関係を結んでできた複合体です。また、分類学(国際植物命名規約)上は、その複合体を構成する菌類(共生菌)のことを地衣類とみなしています。従って地衣類は、系統的に一つのまとまりを成す分類群ではなく、複数の系統から生じた、藻類との共生という生態的あるいは生理的な特徴を共有する(=「地衣化」する)菌類の総称です。 一方、地衣類は、一般には蘚苔(センタイ)類(コケ植物)などとともに「こけ」と認識されていることが多いです。「こけ」は「むし」などと同じく雑多な小さな生物群の総称であり専門用語ではありませんので、地衣類のことを「こけ」と呼んでも間違いではありません。しかし、コケ植物(あるいはコケ類)というと間違いになります。 (下線部が地衣類の定義だと思いますが、難しい、補足が必要) ■補足1 菌類と藻類の共生形態など (ウィキペディアからの引用) ・地衣類の場合、その構造を作っているのは菌類である。大部分は子嚢菌に属するものであるが、それ以外の場合もある。菌類は光合成できないので、独り立ちできないのだが、地衣類の場合、菌糸で作られた構造の内部に藻類が共生しており、藻類の光合成産物によって菌類が生活するものである。藻類と菌類は融合しているわけではなく、それぞれ独立に培養することも不可能ではない。したがって、2種の生物が一緒にいるだけと見ることもできる。 ・菌類が藻類を確保することを地衣化という ・地衣類はその形態から、葉状地衣類、痂状地衣類、樹状地衣類に大別される。 ・地衣類ハナゴケ科 ハナゴケ属 ミヤマハナゴケ ・深山:手つかずの自然環境が残る原生地域、人里に近く日常的に人間が立ち入る里山の対義語。(みやま):使用例としてミヤマクワガタなど →深山幽谷 ■補足2 地衣類の生態など 「国立科学博物館−地衣類の探究」から引用 ・日本にはどんな地衣類が? 日本には、約1,000種の地衣類が生育しています。一つの山に生育する地衣類の種数は、山の大きさや植生の多様性が高いほど多くなります。富士山や阿寒岳のような大きな山では、200〜250種の地衣類が生育していることがわかっています。 ・厳しい環境下にも地衣類は生えるの? 地衣類は、他の生物が生育できないような厳しい環境下でも生活できます。一年の半分が暗黒で、酷寒の世界となる南極圏や北極圏、そして乾燥、低温、強風などにさらされるヒマラヤやアンデス山地などの高山にも地衣類は多く、何年間も雨の降らない砂漠にも地衣類の群落が見られます。地衣類がこのような過酷な条件下でも生活できるのは、地衣類はもともと乾燥や低温、高温に耐える能力が高いうえ、低温、乾燥などにさらされると呼吸量を極端に少なくして、エネルギーの消耗をおさえたまま、何年間も耐えられる能力をもっているからです 「秋田県立大学植物資源創成システムグループ」の「地衣類,小さき愛しきものたち」から引用 火山から噴出した溶岩に最初に根付く生物は地衣類である.厳しい環境の下で生育する地衣類は万物のパイオニアである. ●ミヤマハナゴケは先駆植物(パイオニア植物)と呼んでいいのか。 厳密な分類では植物ではないようですが、一般的にはパイオニア植物で問題は無いようです。 (ウィキペディアからの引用) 動物・菌類・植物・古細菌・真正細菌などを総称して、生物(せいぶつ)または生き物(いきもの)と呼ぶ。 植物(菌類や藻類も含む)は50万種ほどである。 大辞林 第三版の解説 せんくしょくぶつ【先駆植物】 遷移のはじめに裸地に侵入して定着する植物。一般に陽性植物で,極端な乾燥や湿潤,貧栄養に耐える。乾性遷移では地衣類・コケ類,湿性遷移では藍藻類・コケ類など 補足3 「菌類が藻類を確保すること→地衣化」。何故「地衣化」というのか、「衣」がつくのは何故か 下記の調査から次のように推察し、自分なりに「衣」がつくことに納得しました。 (1)英語の学術用語「lichenl」を日本語に翻訳する時、岩や木や地上につくこけというものを形態から、地上に生きる衣状のものとして「地衣(類)」とした。 (2)「lichen」となるのは「lichenized」で素直に翻訳すると「地衣化」。「地衣化」とは「地衣(類)」になること。しかし、なんの説明も入っていない (3)「地衣化」を、種類や範疇に選り分ける内容を入れて説明すると→「菌類が藻類を確保すること」「菌類と藻類の共生」により「地衣(類)」になること。これでは説明が重複しているかんじになる。 (4)そこで、「地衣化」とは、「菌類が藻類を確保すること」「菌類と藻類の共生」となる。 「三河の野草」の「地衣類の用語」 <地衣類とは> 地衣類は世界に約2万種ほどもあるといわれ、日本では約1500種(日本産地衣類チェックリスト:Kurokawa, S. (ed.) 2003. Checklist of Japanese Lichens. National Science Museum, Tokyo. 128pp.)が報告されている。地衣類 lichenesは蘚苔類とは異なり、植物でなく、菌類 fungi の一種とされ、菌類が藻類 algae を体内に共生し、植物的な一面を持った複合体である。菌類が藻類と共生することを地衣化 lichnizedといい、地衣化したものをを地衣体 thallus という。学名はその構成菌類につけたものとみなされ、共生する藻類は藻類としての別の名を持つ。共生藻は光合成を行うため、フォトビオント photobiont ともいわれる。 lichenizedの意味 - 英和辞典 Weblio辞書 (翻訳した日本語の記載は無い。) lichenized 語源 lichen + -ize + -ed 形容詞 lichenの意味 - 英和辞典 Weblio辞書 lichen 【名詞】【不可算名詞】 1【植物, 植物学】 地衣(類) 《岩や木につくこけ》. 2【医学】 苔癬(たいせん). 2.菌類、藻類、コケ、コケ植物、コケ類とは (ウィキペディアからの引用) ■菌類( 菌類(きんるい)とは、一般にキノコ・カビ・酵母と呼ばれる生物の総称であり、菌界(学名:Regnum Fungi )に属する生物を指す。 細菌などと区別するために真菌(しんきん)とも呼ばれることもある。外部の有機物を利用する従属栄養生物であり、分解酵素を分泌して細胞外で養分を消化し、細胞表面から摂取する。 ■藻類 藻類(そうるい, algae)とは、酸素発生型光合成を行う生物のうち、主に地上に生息するコケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称である。すなわち、真正細菌であるシアノバクテリア(藍藻)から、真核生物で単細胞生物であるもの(珪藻、黄緑藻、渦鞭毛藻など)及び多細胞生物である海藻類(紅藻、褐藻、緑藻)など、進化的に全く異なるグループを含む。酸素非発生型光合成を行う硫黄細菌などの光合成細菌は藻類に含まれない。 かつては下等な植物として単系統を成すものとされてきたが、現在では多系統と考えられている。従って「藻類」という呼称は光合成を行なうという共通点を持つだけの多様な分類群の総称であり、それ以上の意味を持たない。 ■コケ 苔(こけ)・コケは地表や岩の上にはいつくばるように成長し、広がるような植物的なもの。狭義のコケは苔類、蘚類、ツノゴケ類の総称としてコケ植物を指すが、コケはそれに加え菌類と藻類の共生体である「地衣類」や、一部のごく小型の維管束植物や藻類、シダ植物などが含まれる。語源は「木毛」にあり、もともとは樹の幹などに生えている小さな植物の総称だったとする説がある。イワタケなど食用の苔もある。 ■コケ植物 コケ植物(コケしょくぶつ、英: Bryophyte)とは、陸上植物かつ非維管束植物であるような植物の総称、もしくはそこに含まれる植物のこと。コケ類(コケるい)や蘚苔類(せんたいるい)、蘚苔植物(せんたいしょくぶつ)などともいう。 ■苔類 苔類(たいるい、学名:Marchantiophyta)は、コケ植物(苔のうち有胚植物に属するグループ)に属する大きな一群である。コケ植物には、苔類のほかに蘚類(せんるい)、ツノゴケ類があり、それぞれが単系統群である。苔類ではゼニゴケやジャゴケが有名であるが、これらは必ずしも苔類の典型ではなく、より多様な姿のものが含まれる。 3.「地衣類」はなんとなく、すこしわかったような気分である。更に納得するためには、次の語句の理解が必要か。菌界、酸素発生型光合成、真正細菌、真核生物、多系統、非維管束植物・・・・。 植物学の壁にぶつかり、この状況がどこまで続くかわからず、山歩き記が進まないため、第二次調査の遂行は検討中。 2015.7.27 御中道の御庭で見つけたミヤマハナゴケ他者の写真でもコケモモとともに生えているのが多い ![]() ![]() ![]() 2014.9.10 御中道の御庭で見つけたミヤマハナゴケ2015年に比べこぶりでまばらに生えているが、シャクナゲ、カラマツの松ぼっくり、コケモモ、ミヤマハナゴケと富士山の代表的高原植物のそろい踏み。 ![]() ![]() ![]() いまのところ富士山の見える山でミヤマハナゴケを見つけたのは御中道だけです。標高2500m以上でないと、生えていないのか。 |
![]() ■ミヤマハナゴケの群生 「おはなはんの植物観察日誌 」の「富士山 お中道 散歩(3)」 ■コケモモの実とミヤマハナゴケ 「癒しツアーFUJITABI」の「フォトレッキング!ツアーお知らせ」 |