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3 歌川広重「冨士三十六景 甲斐御坂越」を描く 3.1 前景の山道と一本松を描く 私は椿椿山「御坂嶺河口湖両景」を眺めています。 ![]() 図23 椿椿山 「御坂嶺河口湖両景」 円状のゆったりした河口湖の上に大きな富士山がいます。岸の近くで河口湖と富士山を眺めたくなります 中央の小山が河口から大石へ行く長崎トンネルの上の小山とすると、その小山の付近に山道があり旅人が富士山を眺めているようです。 あの旅人は椿椿山かなと山道を凝視していたら、画面が一瞬真っ白になり・・・・・・・・・・・・・ ![]() 図24「御坂嶺河口湖両景」の山道と旅人 再び山道を見ると、誰かがこの山道を登っていきます。新たな旅人のようです。 旅人は、じっくり山道の景色を眺めながら登っていきます。 旅人が「いい山道だ、絵になる山道だ」と呟いています。 ![]() 図25 「御坂嶺河口湖両景」の山道に旅人 旅人をよく見ると旅笠に「広重」と書いてあります。浮世絵の巨匠歌川広重です。 旅人広重は山道の先端に立ち富士山と河口湖を眺めているようです。広重の呟きが聞こえてきます 「素晴らしい眺めだ、この河口湖と富士山で冨士士三十六景を一枚描こう」 広重の眺めているのは椿椿山「御坂嶺河口湖両景」の河口湖と富士山です。 ![]() 図26 「御坂嶺河口湖両景」の山道に広重 広重はまず「御坂嶺河口湖両景」にある山道と一本松を描きました。三十六景は縦型画面ですから、 山道の右側の小山は縦に伸ばし、一本松も大きく描きます。 山道は登り坂のように描き、その山道を登ってきた旅人が 山道の頂から河口湖と富士山を眺めている後ろ姿を描きます。 前に坂道を登ってくる人、後ろの坂道を登ってくる人を加えて描き、往来が盛んな山道として描きます。 縦長画面に適した、素晴らしい近景ができました。
3.2 富士山と河口湖を描く 次に、広重は山道の奥に河口湖と富士山を描きます。 図29で椿椿山「御坂嶺河口湖両景」のほとんどをそのまま描きます。富士山の大きさが画面に適合する大きさで描きます。そうすると「御坂嶺河口湖両景」の河口湖が小さく手前の山並みまで出てきます。 図30で、「御坂嶺河口湖両景」の手前の山並みを除きます。富士山からはみ出した雲を除きます。中央部の雲の所に何を描くかは最後に決めます。 河口湖の南北の長さは、「御坂嶺河口湖両景」のほぼ2倍になりました。
図31で左側上部の河口湖に接する陸地を除き、湖を広くする。 図32でとても重要な下記の二点の変更を行い、歌川広重「冨士三十六景 御坂越え」が制作完了となります。 ①富士山の下に二重の山並みを描く。この山並みは 「御坂嶺河口湖両景」にはなく、実際にもありません。「御坂嶺河口湖両景」では雲の部分ではっきりしないので、山並みを描いたか。 ②産屋嵜の位置を下に移動。河口湖奥の湖がかなり広くなりました。
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